■
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/02/17
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 10回
- この商品を含むブログ (74件) を見る
桐野夏生作品を読んだのは、グロテスクに続いて二冊目なんですが、こういう文体の人なのかね?登場人物が何人かいて、章ごとに一人称が変わるのね。それは、両方とも共通してた。
でもそれによって、登場人物の関係性が露わになるというか、なんというか、人間関係を描くのが上手な作家さんなんだなって思いました。
普通の家庭で育った、それなりにマジメでそれなりにドライなトシ・頭が良すぎてちょっと危うい哲学少女テラウチ・男まさりでエキセントリックなユウザン・育ちが良くて男受けもいいかわいこちゃんキラリン。それぞれのキャラが出てておもしろかった。
この人の作品の中では比較的ライトなお話みたいですね。たしかに、読みやすかった。グロテスクと比べたらまあなあ…。ってそれでも、母親殺しの少年とかが出てくるんですけどね。
なんか、高校生の頃ってこういう気持ちだったかもしれないなあって思った。自意識強くて思い込み激しいかんじとか、認識の甘さとかね。家出した友達をかくまってあげたくなったりさあ、なんかそういう気持ちってあったよね。そういう意味ではリアルだと思うなあ。
ただ、超哲学少女テラウチの言う「取り返しのつかないこと」っていうのが、なんとなくは分かるんだけど、何かちゃんと消化できなかった。この登場人物たちにとっての「リアルワールド」っていうものも分かったような分からないような…ってかんじだったし。
でも、おもしろかった。ラストは、個人的には、グロテスクよりもしっくりきたな。悲しいラストだけど。この話、漫画とかにしてもよさげだね。