はてな年間100冊読書クラブ 42冊目

ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね

ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね

岡崎さんは活字になっても岡崎さんでありました。優しい語り口で語られる残酷な物語。一人の女の子の堕ち方というものをいつも考えている、という言葉に、なるほどとうなずいた。この人の漫画はそれがテーマなんだなあ。
読んでて、岡崎さんの漫画の絵が浮かんできた。どんな女の子かどことなくビジュアルで想像できるから読みやすい。
やっぱりヒリヒリする。
いつかまた、漫画でも文章でもどんな形でもいいから、この人の感性に触れたいと思ってしまいます。

言葉って不思議ね。言ったとたんなにかを着地させた気分になってしまうの。

風景や歴史や世界のほうがぼくらよりずっと忘れっぽいということ。百年後のこの場所には君もぼくももういない。ぼくたちは世界に忘れ去られているんだ。それって納得できる?

彼女は幼い。だからよくあることはたいしたことないと考える。人は生きる。人は死ぬ。よくあることじゃん。当たり前田のクラッカー。た・い・く・つ。彼女は自分が死んでゆくときも「ああ、またか」と思って死んでゆくだろう。
(中略)
だけど問題なのはよくあることでもそのことが起きてしまった本人にはつらくきついことだったりすることだ。