地下鉄の中で点字を見つけたのをきっかけに、生まれつき目が見えない人のことを考えた。
目が見えない人でも本は読むよね。点字なんてものがあるってことは文字を読む術があるってことだよね。文字を読むってことは、物語なんかも読むわけだよね。
その物語の中に出てくる描写とかってのは、目の見えない人の脳内にはどのようにイメージされるんだろうなんてことを考えていたよ。
だって、生まれつき目が見えないってことは、この世の中の景色ってもんを一度も目にしたことがないってことで、そうすると視覚による記憶が一切ないってことでしょう?
でも物語なんかの中には、状況を説明するための描写が出てくるではないですか。心理描写とかならまあ分かるんだろうけど、「状況を説明するための描写」ね。これってどんな風にその人の脳内に再現されるんだろう??
空を仰ぐと一面青色が広がって---なんて描写があったとして、私たちにはアリアリと想像できるけどさ、視覚による記憶のない人には、その「青色」って色がまずどんな色か分からないのではないだろうかしら。そうすると、その人にとっての空ってもんはどんなイメージなんだろう??とかね。
そういえば、生まれつき目の見えない人が、成長してから角膜移植とかで視力を得たけど、うまくいかなかったって文章を読んだことがあるような気がする。
その人は目が見えないとは思えないぐらいに、なんでもうまくこなしていたんだって。生まれつきだからそれが普通の状態だからね。そういうもんだと思えば、できるのかもしれない。
ところが、目が見えるようになった途端に、世界が眩しすぎて、普通に歩くことすら困難になってしまったって話だった気がする。