阿修羅ガール

阿修羅ガール

実に軽快なテンポの口語体で物語は進んでいきます。第一章なんてホントすらすら読めた。アルマゲドンのあたりも、だいぶ引き込まれた。
うん、私、こういうノリを忘れてたなって思った。口語体のがきっと日記もスラスラ書けるに違いない。ていうか、書けてた。そんなことを思い出しちゃったね。この文体には賛否両論あるようですけど、私はいいと思いますよ、うん。ってえらそうに私が言ってもしょうがないんだが…。
文学とかってさ、文体とかはそんなに問題じゃないと思うんだよね。内容がおもしろければ。
えっと、舞城さんの本は前に一冊だけ読んでて、それが「世界は密室でできている」。入院中に読んだんだけど、こっちも軽快な口語体だったよねえ。でも、正直言っちゃうとそっちのほうはイマイチだった。なんか、ミステリなんだけど、トリックとかが強引すぎんだよね。強引なトリックでも京極さんとかの本はものすごい説得力でもって、不燃なかんじはほとんどないんだけども、これはちょっと説得力に欠けたかな。
そんでちょっとあんまり読む気なくしてたんだけど、たまたま古本屋で見つけたから買っちゃったのさ「阿修羅ガール」。
こっちはよかったよ、うん。ちょっと第二章のはじめのマフィアがどうこうとかいうあたりとか、何?もしかして夢オチ??みたいな不信感を持っちゃって一瞬、読むのがだるくなったけど、森の話のあたりでだいぶ盛り返した。
グルグル魔人の章は、うんこうんこでれっでーが多すぎて話進まねーよ!ってちょっとイラッときたけど、だいたいちょっとアレな人の頭ん中なんてこんなもんなのかもしれないって思って、ある意味リアル。
なんていうか、人の心理描写…というか、一人称の心理描写が上手だね。リアルだ。文体のせいもあるんだろうけど、主人公の気持ちが伝わりすぎる。
そのくせ、一人称以外の心理描写とかがイマイチ伝わってこないのは、一人称の視点がものすごく確立されちゃってるからとか?ともあれ、主役の自意識が強すぎるというか、なんだ?一人称の気持ちになれるかんじ。
他の本読んでないからわかんないけど、この二冊を読んだかぎりでは、ヘタにトリック暴いてくようなミステリ小説じゃない方がいいのではないかと……。
しかし、佐野が結局どうなったのかが分からないのが気にかかるところではある。
まあ、また、他の本も読んでみたいと思いました。
でもね、ヤバイの。今ね、ぬるい文章読みたくなくないモード入っちゃった。このスピード感は癖になるね。舞城本、探してこよーっと。古本屋で…w