はてな年間100冊読書クラブ 15冊目

夫婦茶碗 (新潮文庫)

夫婦茶碗 (新潮文庫)

再読してみた。
かつて初めて読んだ町田作品でしたが、ううん、さすがに最初に読んだときのような爆笑や衝撃はなかったけれども、久々に町田康節にひたれておもしろかった。
どこまでダメなヤツになれるかの実験。なるほど。なんでも突き詰めてくと笑いにつながるんだね。なんて思ったりして。
表題作についてはなんといっても、小熊のゾルゲですよね。何をやってもダメで嫁に苦労をかけてばかりの主人公が、そうだメルヘン作家になろう!ってひらめいて、思いついたキャラクターが小熊のゾルゲ。
ゾルゲて。どうよその名前。メルヘンなのにゾルゲ。濁点多すぎだし、なんか強そうだし、ちょっと剛毛なかんじしない??毛並みゴワゴワしてるよね、きっと。フカフカじゃないよね。
ポルノ映画のくだりは、現実なのか妄想なのか判別できず。
でもまあ、なんというか、最初に読んだヤングな頃よりも、今のほうが切なさ感じたわあ。こんなにも些細な事柄によって、ここまで転がり落ちることができるのかっていう。冷蔵庫の卵を古いものから順に並べ替えることに疲れ果て、仕事辞めちゃうんだもんな。
「人間の屑」のラストってこんなんだったか。もうダメじゃん!ヤバイじゃん!って最後なのに、どこか爽快なのはなぜだ。さすがパンク作家。
読んでる間に繰り返し、移転前の新宿LOFTの風景が脳裏に浮かんできた。あのへんのアングラなにおいがするよね。ちょっとドブくさいのね。