はてな年間100冊読書クラブ 43冊目 44冊目

さよならバースディ

さよならバースディ

タイトルだけで借りたので、読んでみたら想像とまったく違ったけどおもしろかった。
バースディとは、子ザルの名前。サルていうかボノボ。類人猿の言語習得実験の実験動物。でも、まるで自分の子供のようにバースディを可愛がる研究者の主人公たち。しかし、このバースディ・プロジェクトでは、一年半前に担当教授が自殺しており、その後、主人公の恋人である研究員の女子も研究室の窓から身を投げる。その一部始終を見ていたのがボノボのバースディだった、というお話。
バースディの動きの描写がまるで乳幼児のようでかわいい!カタコトなバースディ語もキュンとくる。そりゃあ、可愛がるよね……好物のレーズンバターいくらでもあげたくなっちゃうね!
子ザルにまつわる平和な話なのかと思ってたら、中盤からミステリ要素が強くなってきて、ついつい先が気になってぐいぐい読んでしまった。けっこう暑い本だけど二日で読んだ。
恋愛小説でもあるはずだけど、なんかそういう印象はイマイチ薄かったかなあ。まあ、ミステリだしそんなもんか?ラストのその先がちょっと気になる。
ともあれ、バースディの可愛らしさが何より印象的。


ハイドラ

ハイドラ

写真家の専属モデルをする主人公。写真家とはひそかに付き合っている。人形のような無機質さを求め、笑うな、だの痩せろ、だのと言ってくる写真家との生活によって抑圧されてゆき、摂食障害に。そんなある日、健康的で明快なバンドマンの男と出会い惹かれあうが…てなかんじのストーリー。
痛々しい、の一言に尽きる。でも読んじゃうんだよねー、こういうのって。でもこれもまた、一人の女の子の堕ち方、なのかもしれない。
しかし、なぜ、リツは松木さんに「水蛇」を渡したのか。後半で、怒ってるように見えるリツの背中というところからも、もしかしてリツも松木さんに気があったんじゃ……??とか思ってしまったけど、深読みかなー。
ともあれ、ラストではなんだかガッカリ肩を落としてしまうわけで。
ハイドラとは水蛇のことらしい。
自分が傷つくことはもちろん怖いけど、人を傷つけることも相当怖いけどなー。