はてな年間100冊読書クラブ 57冊目・58冊目

告白 (中公文庫)

告白 (中公文庫)

「河内十人斬り」っていう実際にあった話を元にして書かれたお話のようですね。
淡々としているというか、説明を省いた文章を書く人が多いように感じる昨今ですが、町田さんは必要以上に説明をしてくれちゃう人なのだなあと改めて感じました。
まあ、そのくどさが町田さんの文章のおもしろいところでもあるのだけれども、今回はいつもに増していて、物悲しさを感じるほどでした。
心理描写?自己分析??わざわざ言わないような無意識レベルのところまであえて描写してるかんじ。
こんなにもいろんなことがよく見えるのに、なぜこんなにも不器用なんだ熊太郎よ。やるせないよ。キミ、頭ん中カオスだよ。まるで自分の頭の中みたいだよ。
言語が通じない人っているよ、いるいる。伝えても伝えても伝わらないあのむなしさ。かいてもかいても進まない平泳ぎをしている気分になるよ。きっと、自分とは別の国の出身なんだろうね。
熊太郎は、いる場所を間違っていたのではないかと思うよ。きっともっとしっくりくる場所があったと思うよ。異国だったんだよきっとそこは。もっと都会に出てみればよかったのにな。
読み流すことのできない一冊でした。なんかずっしり残っちゃったな。町田さんの軽快な語り口じゃなかったらかなり重かったと思うわあ。
盆踊りのリズムにノリノリになっちゃうとことかアホほど笑ったわ。

天国はまだ遠く

天国はまだ遠く

上の告白が分厚かったのに対して、こちらは二時間ぐらいでスイスイっと読めた。お口直し的な。アハ。
って、そんなにライトなお話ってわけでもないんですけども、さらっと読めるかんじです。ほっこりじんわりしました。
自然とともに暮らすこと。自分で育てた命を自分で食べる。そんなシンプルな暮らし。都会育ちの私には正直、想像もできないのですが、意外となじめるものなんでしょうかね。

「ここへ来て、よう命を頂くことになったやろ。鳥絞めたり、魚さばいたり。時々、下の牧場に行って、牛をと畜場へ運ぶの手伝ったりもするしな。野菜も一緒やけど。」
「それで教会?」
「(中略)不思議やけど、命を手にすると、神の存在を感じてしまうねんな。(後略)」

ていうか、今月中で77冊達成ムリだわ。
とりあえず、77冊達成するまでは期限過ぎても続けてみます……。