オカルト (新潮文庫)

オカルト (新潮文庫)

一気にガーッと読めてしまった。まあ、エッセイ集(中には超短編のフィクションもあり)みたいなかんじだからね。
タイトルが「オカルト」だけども、そんなに背筋がひやっとするような話はない。日常の中のちょっと不思議な話。虫の知らせとか、軽い予知とかそんなの。プチオカルト??
私、こわーい話は苦手なんだけど、そういうちょっと不思議な話みたいのが好きでねえ。小さな小さな非日常。夢で見た場所が実際にあった、とかそういうのにハッとしてしまう性質なので、すいすい読めちゃった。
中でも記憶に残ったのが、拾いものをする紳士の話。ホテルのロビーでダイヤモンドの欠片を拾うのね。その紳士はしょっちゅう拾い物をするらしく、散歩中に橋本龍太郎の名刺を拾ったり、ある時なんて、姉が旅先の房総半島でなくしたキーホルダーを渋谷の銀座線のホームで拾ったことがあるという。
生産的なことに活用しないようにしていれば、世界にはあらゆるものが落ちている。
ダイヤモンドを拾ったから質屋に売って一儲けしよう、とかそういうことを考えてしまうと拾い物ができなくなるらしい。
ちょっと興味深いですな。わたしもおかしな拾いものした〜い。
あとは、ゴツゴ様のお話。自分のご都合中心で生きていると、自分に特に必要ないものが目に入らないってお話。
なるほどなるほど、合理主義もほどほどにしないと、ささやかなおもしろいものを見落としてしまうってことだね。
田口ランディさんの本は小説・エッセイともに何冊か読んでるけど、なぜかこれ読んでようやく分かった。基本的に、この人が書いてることってのは「生命」についてだね。たとえば生死の瀬戸際に立っても戻ってこれるのは生命力の賜物だもの。生きる力が強い人ほど、死にも近いんだなあ。なんてことを思ってしまいました。
不思議な体験ってのは、こっち側とあっち側の瀬戸際ラインにいるときに起こるんじゃないかしら??なんて、よくわかんないけど。
オバケは見たくないけど、ちょっと不思議体験ぐらいなら興味あるよね。
でも、オバケとかはホントこわいな。ホント見たくない。でもね、ネギとかニンニクとかニラとかいっぱい食べると霊感って落ちるんだって。なんでやねん。でも、臨床データらしいよ。
私、全部好きだなあ。だからオバケ見なくて済んでるのかなあ。だったらよかったけどね。