はてな年間100冊読書クラブ 25冊目

お縫い子テルミー

お縫い子テルミー

テルミーってなんだろうって思ってたら、照美、ね。なるほど。
流しのお針子、一針入魂テルミーですって。
家を持たずに居候として生きていくテルミーの家族は不思議。身軽ぽくて憧れないでもないけど、自分にはできない生き方だと思った。無条件に自分が居ていい空間ってのがないなんて耐えられない。自分の枕というか布団がないと耐えられない。そう考えると自分はけっこう執着心が強い方なんだなと思う。自分のためにできるかぎり居心地のいい空間を、帰れる場所をキープしておきたい。
歌舞伎町が舞台だったりするけど、その場所から想像するような生々しさはあまりない。あ、でも、タイトルから想像するよりは生々しいかなあ。
布の描写にちょっとウキウキした。お裁縫は全然得意じゃないけど、布を見て歩くのは好きだ。ちょっと、ミシンが欲しくなった。
しかしこの恋愛は、決して成就しないということに酔っているのではないかと思ってしまった。でも初恋だから仕方ないのかしら。テルミーもシナイちゃんもステキなキャラなのにね。しかし、信田さんの登場シーンが少ないのが残念だわ。また後半でからみがあるのかと思ってたのにな。
「ABARE・DAICO」の方は、小学生の男子が初めてのアルバイトを通して、ひと夏の貴重な経験をするという、もうちょっと現実にもありそうな設定で、この作者さんっぽくない気がしたけど、おもしろかった。ピンポンうんこ、ステキだね。ひと夏の経験を買ってきたというお母さんもステキ。読後感がいいかんじ。