はてな年間100冊読書クラブ 二期目 7冊目〜10冊目

パンク侍、斬られて候

パンク侍、斬られて候

なんというカオス!時代劇の設定なのに、登場人物たちの会話の中にはロックの偉人とかが出てきたりでいろいろシュール。腹ふり党という新興宗教をめぐるお話なのだけれども、ラストのあたりなんかはまるで楳図!?と思ってしまうぐらいのプチSFなシュールさで、読み応えもばっちり。
町田さんはいつからこのようなしっかりとした「物語」的な文章を書くようになったのだろうかしら。初期の作品は勢いだけで読んじゃって、もちろんそこが面白いところでもあるのだけれども、後からあらすじを思い出そうとしても思い出せなかったりすることが多々あった。しかし、この作品や「告白」などは、物語としての読み応えがあるように感じた。そして「告白」ほど重くないので楽しく読めた。おへどにいたします。
お猿の大臼が、言葉を喋る理由を語るところが、なんかすごいなあと思った。町田さんの思考ってすごい。考える人だなあ。

(前略)
あるとき僕は僕の頭のなかに言葉が満ちているのに気がついた。自分と世界以外に言葉というものがあって、それまで生きていた世界以外に言葉によってできたもうひとつの世界があることに気がついたのです。しかもそのふたつの世界はなにかによって串刺しになっている。その串は言葉を喋る人間が言葉を持ったことによって抱え込まざるを得なくなった思念であることにも気付いたよ。
(中略)
理由というのはその思念の串そのものかその思念から揮発した別の思念だと僕は思う。
(後略)

以下、ほんのりネタばれなのでホワイトアウト
ラストがうまいことしめられていることにビックリ。町田さんの作品にそんなのないと思ってた。わは。タイトルからして、こいついつか斬られるんだろうなとは思っていたけれど、ふうん。

ボロボロになった人へ

ボロボロになった人へ

ブラックユーモアなかんじの短編集。「死刑」と「大麻農家の花嫁」あたりは筒井さんとかを思い出した。そして、性に関する話が多い。リリーさんえっち!!「おさびし島」「Little baby nothing」なんかは男性のファンタジーなのか??表題作「ボロボロになった人へ」は5ページほどの本当に短い短編なのだけれど、切なく心に残った。

純情エレジー

純情エレジー

エロスというかまあ、体のつながりをテーマに描かれた恋愛短編集、なのかな?田舎が舞台になっている話が多かった。自分は一応首都圏育ちなのだけれども、田舎が舞台の恋愛小説の方がいろいろ伝わってくるのはなぜなんだろう。
田舎に残された遥と小説家の照の話と、ラストの「結晶」はよかったかなあ。「指で習う」はエロスだな!和服をまとったバツイチの習字の先生が、生徒の男子高校生に手ほどき!血圧あがる……。

生協の白石さん

生協の白石さん

今さらですが、図書館で目に入ったので借りてみました。白石さん好き!!誠実ながらウィットに富んだお答えがたまりませんよ。文通したーい☆いや、今の時代だとメル友か……。煙にまいてくれそうだ。「牛を置いて!」の答えに笑った。