はてな年間100冊読書クラブ 二期目 14冊目〜18冊目

にょにょっ記

にょにょっ記

にょっ記よりはパンチが弱かった気がするけど、単純に慣れてしまっただけかもしれない。でも相変わらずニヤニヤできた。
脈がぴょこぴょこするユミコちゃんの話が印象深い。ちんじゃおろーすと中国っぽく発音しながら太極拳の動きをするテストはぜひ真似してみたいものだ。(多分やらないけど)
ユニコーン再結成についても触れられていて、好きな人たちがリンクしたかんじでちょっとウフフってなった。バスローブの着方への疑問点については激しく同意した。昭和初期の雑誌とかを読んでみたくなった。あと、私の携帯電話の履歴も非常に地味だと思う。

友人に聞いた話を思い出す。バスの中で母親に尋ねられたのだという。
「タカオって誰?」
母が指さした先には紳士服の広告があった。
「エレガントなスーツを貴男に」

実家近くの区民ホールで中学生の演劇を観る。遭難したボートの上で三人の男女が嵐に巻き込まれる、という話だ。最初はお互いに励まし合っているのだが、やがて不安や恐怖から少しずつ自分勝手になって、とうとう喧嘩を始める。
(中略)
そのとき、演じる役者たちの背後に全身黒タイツの三人が現れた。「心の闇a」と「心の闇b」と「心の闇c」だ。
遭難した三人のやりとりとともに、それぞれの内面の葛藤を、無言のまま激しい動きで表現している。
(中略)
舞台上の罵り合いの激しさがピークを迎えたとき、「心の闇b」がバック転をした。
おおっと客席がどよめく。
すると、気をよくしたらしい「心の闇b」はさらに連続バック転。

電車の前面に「あいつ」の文字をみて、びくっとする。
電車なのに「あいつ」って…。
「あいづ」か。

現実入門

現実入門

ほむほむ二連発。あったまゆるゆるになっちゃーうね!てかこれは、ホントにいちいち爆笑しながら読んでたわあ。不惑を過ぎても未経験のことが山盛りな穂村さんが、いろんなことを初体験してレポートしたエッセイ集。献血やらモデルルーム見学やら一日お父さんやら。
こういったレポートものをおもしろく書ける作家さんはなんだか信頼できるなあ。おもしろい作品書くんだろうな、とかそういう信頼。たしかに、穂村さんは世間知らずなのかもしれないけれども、なんだかんだ言って、現実がよく見えてる人なんじゃないかなあと思う。しかし、どこまでが現実だったのだろうかしら?
ラストの落とし方にすごくビックリした。ちょっと泣いてしまった。ていうか、今読み返してそこだけ読んでも泣けたわ。

蝿男

蝿男

短編集。どれもこれも、濃い設定だなあとか思う。でもついつい夢中で読んでしまうのだわ。
「海猫の庭」と「鍵穴」が印象深かった。「鍵穴」は幼児虐待の話で、読んでてけっこうつらかったけど。「海猫の庭」は新宿ゴールデン街が舞台。ゴールデン街、以前から気になる土地ではありますが、むやみに足を踏み入れる勇気はないなあ。あんた一流よ、なんて言ってくれるオカマちゃん、ちょっといいよねー。

「ああ、どうしてこんなに悲惨なのに、こんなにくだらないんでしょうか」
「過剰だからよ、過剰って滑稽なの」

破滅の石だたみ

破滅の石だたみ

日記やエッセイ、書評(というか読書感想文というか)にコンピュータ雑誌に掲載されたMacについてのエッセイやら、盛りだくさんなエッセイ集。「告白」についてのエッセイも載っていたし、興味深い話が多かったかも。その後、マックの伊八とは仲良くできているだろうか。
身近なところや、好感を持っていた著名人が亡くなることが多かった今年、「どうしたらよいのか」という、他界した人々について書かれたエッセイが心に残った。この虚無感。でもまったくその通りなのだ。

何十年か後には私も消滅するが、その後、どうなるのかは実感として分からないし、私が知っていた人たちがどうなったのかもわからない。どうしたらよいのかわからない。小説を書いてもどうにも、なににもならない。

やはり読書というのは自分に抵触しないと駄目なんだな。自分を動かさない読書は駄目で、読んだ後はやはりどうにかなってしまいたい。読む前と違う人間になりたい。

人間が、音楽を聴いたり、本を読んだりするのは、頭がいいと思われようと思ったり、役に立ったり立たなかったりすることではなくして、ただただ、頭脳をシャッフルする・されることをひたすら求めているにすぎぬ、ということ

ときに著者は「これだけは言っておく。ブルースを忘れない方がいい」とか、「ユーモアが大切だ」或いは、「戦争はやめよう。平和に生きよう。そしてみんな平等に暮らそう」といった一見、教え諭すようなことを言う。しかしいろんな意味で間違えてはいけない。これは忌野清志郎の祈りであり切実な告白だ。彼は瀕死だ。でも瀕死の状態で吐かれた言葉こそが、イエイ、切実なのである。

イナカノコ

イナカノコ

おおたうにさんて小説も書いていたのですねえ。たまたま図書館で見かけて借り。
挿絵は入ってないのだけれど、キャラクターのイメージがおおたうにさんのイラストで浮かんだ。
海里は完ぺきすぎる。草は嫌だなあ、なんか。あたしゃこういう子は苦手だよ。佐和はキライじゃないよ。実のところ、漫画にした方がいいんじゃないかなーと思った。せっかく素晴らしい絵心がありますのに。文章だけだと、何か美意識というか自意識というか、そういうところばかりが垣間見えてしまう気がした。いや、キライじゃないんですけどもね。
でも、主に二つの家族について書かれていると思うのだけれど、そのへんについては、とても状況が見えやすかったように思います。母親と娘の関係について、ちょっと考えてしまった。自分はたぶん、自分の子供に対して、親子と言うよりはむしろ、一人の人としてしか接することができないかもしれないと思った。良くも悪くも。